宿泊施設を大きく分けると、serviced つまり食事や部屋のしたくといったサービスをする
宿…代表的なのがホテル、他にB&B、ゲストハウス、インなど…と、逆に non-
serviced と言うべきセルフケータリング self-catering の2つになります。
そのそれぞれに個人の住宅から農場、お屋敷、ゴルフクラブ、キャラバンといった多くの
タイプの施設が使われるので、まさにお好み次第、あるいは予算次第で楽しく選んで活用
してください。
ホテル
日本で言うホテルにあたるものは、いわゆるアメリカンタイプとヨーロッパタイプがあり
ますが、こういう大規模なものもあればB&Bと見た目変わらない家族経営のものも含ま
れるので、名前だけで判断できません。
マナーハウス、カントリーハウス
元は土地の領主だった貴族のお屋敷をホテルにしたもの。バスや鉄道から離れていること
が多く、車でないとアクセス困難。広い敷地、アンティークなインテリア、行き届いたサ
ービス、豪華なディナー…という世界ですが、このいわゆる格式が高い…と言うのは収入
や地位が高い人向け、というよりも精神年齢の高い人向けだということです。大人のマナ
ーをきちんと心得て泊まる場所だということは忘れてはならないと思うのですが、実はツ
アーで「客寄せ」にこういう所での宿泊が組み込まれていることも少なくはなく、少々悲
しいものがあります。
城
上と同様に、城をホテルに改装したもの。中世風宴会の食事(一種のディナーショー?)
といった企画がある所もあります。本館でなく敷地の端の「門番の家」だけ利用していた
り、貴族的サービスよりとにかくこの建物、すごいでしょ…どまりの所もなくはないの
で、割り切ってマニアックに楽しむ宿かもしれません。極端に言えば。
イン
昔の馬車宿。コーチと呼ばれる客用馬車が交通の要だった時代に、ルートの途中途中で宿
泊するために街道沿いにあった人も馬も泊まれた宿…です。正しくはコーチング・イン。
このインはもちろん食事場所でもあったので、インからパブに移行していった所も多く、
今では宿泊もできるパブ、と言ったほうが納得するかも。建物の古風さが売り。
B&B、ゲストハウス
宿泊と朝食付きの民宿。安さと家庭的なところと、その日その日の思いつきで泊まれる気
軽さから言っても、個人旅行者の心強い味方。一軒あたりの部屋数は少ないところが多
く、バスルームは共用のこともありますが、逆に夕食をオプションで頼めたり、部屋ごと
にバスルームがあったり、プール付の所まで…とサービスや設備も千差万別と言えるでし
ょう。詳しくは別項を。
ファームハウス
ウェールズでは特に人気の宿。本当に羊や牛がいる農場に泊まれて、時にはその農場で遊
べるようになっているので子供連れの長期宿泊に利用する人が現地では多いようです。た
だ、農業はやめてしまって「元農場」を改装した所もこう呼ばれるので、区別するために
は working farm という言い方で確認しましょう。セルフケータリングのできるところも
多いです。
ユースホステル
英国のユースはその名に反して年齢層が幅広く、バックパッカーの若者と田舎でののんび
り休日を楽しみたい老夫婦が一緒に過ごすような宿となっています。ウェールズではトレ
ッキングやサイクリングの拠点として利用されるユースが他の地域より多いかもしれませ
んが、そういう山小屋のような簡素な設備のところもあれば、カップルや家族で泊まれる
個室があって、3コースディナーが出て酒だってオーダーできるようなユースも増えてき
ています。英国のユースの建物はたいてい「元○○」の再利用なので、マナーハウスから
水車小屋まで建築物として楽しめます。予約が普通で、オンライン予約やカード利用もで
きる所もありますが、個室希望は早めにどうぞ。1人1泊£12くらいから。
大学寮
夏期・イースター・クリスマス休暇の期間中に学生がいなくなった寮を一般の人に安く提
供するシステムがあります。食堂や寮内施設も利用でき、珍しい体験となるでしょう。個
室がほとんどで、料金は安いB&Bくらい。
ナローボート
運河を走る細長いハウスボートが、ナローボート。航行しながらそこで居住できるよう、
寝室・キッチン・バスルームがコンパクトに揃っています。ナローボートホテルとして乗
せてもらっていく方法と、個人で1台借りて自分で操縦しながら好きなスケジュールで旅
していく方法があります。(操縦に免許はいらないし、借りたその場で操縦は教えてくれ
ます)週単位が基本ですがその半分の2泊または3泊のコースも季節などにより可能。
セルフ・ケータリング
宿の種類というより宿泊スタイルの名前。日本の貸別荘のように宿泊施設だけ借りて食事
は自分で用意して主に長期にわたって過ごす所です。町中のアパートの一室や、田舎のコ
テージ丸ごと、農場の納屋を改造した一角、貴族の屋敷の一部を週単位で借りますが、オ
フシーズンならもっと短期も可能です。定員内なら何人で借りても料金は同じなので、家
族や友人でシェアすると割安になりますね。我々にとっては安くで休暇を過ごす宿、とい
うよりは「英国で暮らす」雰囲気体験のチャンスかもしれません。
キャラバン
海岸や山あいの広い敷地に同じキャラバンがずらーっと並んでいる光景が時々あります
が、これは主に夏の休暇に家族で一軒借りて過ごす「貸し山の家」「貸し海の家」なわけ
です。1DK程度の小さいものから各種あるようです。シーズンになると敷地内には商店
やその他サービス施設が開店して不便のないようになっています。
キャンピング・パーク
上と同じ敷地に併設されることも多いようですが、こちらは地面を小さな区画に区切った
のを借りてテントを張ったり、車で引っ張ってきたワゴンやキャンピングカーを停めて休
暇を過ごす所です。「ハリーポッター・4」に出てきたワールドカップ用のキャンプサイ
トがこれですね。電気・水道・売店などはきちんと設備があります。1区画1泊£7くら
いから。
1) 予約をする
i で探してもらう …… i ことツーリスト・インフォメーションに
行って担当者に希望条件「日数・人数・予算・部屋のタイプ(シ
ングル・ツイン・ファミリー)・バスの有無・禁煙か・徒歩か・
車か・夕食可か、など」を伝えて探してもらい、決まれば手数料
(不要の所もある)とデポジット金(1割が標準)を支払い、道順
などを教わって自分で向かう。
自分で電話する ……パンフなどに載っているものから自分で選び、
直接宿に電話して予約する。まず空きがあるか、そして上のよう
な希望項目について尋ねるとよい。
ネットで予約する ……宿泊検索サイトなどで希望の宿を自分で見つけ
メールで予約する。個々にホームページを持つ宿も多いので、外観
や設備など詳しいことも前もって調べられる。日本から早いうちに
決めておくには便利。
旅行代理店に頼む ……できれば最後の手段に。手数料がかなりかかる
上に選択肢も限られる。何泊以上でないといけない、などの制限も。
2) 予約しない
飛び込み ……通りすがりに見つけたB&Bに直接入って決める。ま
ず空きがあるか確認し(普通は宿の外に表示が出ているが)、宿
のご主人に部屋を見せてもらって気に入れば決定。気に入らなけ
れば「 I'll think again. 」と言って断れば問題ない。
3) 宿に着く
予約があればご主人にそう伝え、部屋に案内してもらう。(ない時は
上の項目の通り)室内の備品についてやバスルームの説明を受け、翌日
の朝食の時間など聞いておく。部屋が気に入らず代えてほしいと思った
らこのタイミングで。でないと代えてもらえないことが多い。部屋の鍵
と玄関の鍵を預かる。(ない時もあるが)
夕食に適したレストランやパブについて教えてもらうこともできる。
寝室以外に客専用居間があればそこでくつろいでもよい。
とりあえずは部屋にあるお茶セットでお茶を入れるとか。
ホテルのように防音がよくないので、特に時間が遅くなってからは大声
や足音など気を使うこと。
ホテルのフロントのようにはいかないが宿の人は家の中のどこかにいる
ので、質問や要望があれば下へ行って声を掛ければいい。部屋の暖房が
強すぎるとか、毛布を余分にほしいとか、トイレの水が流れないとか。
セイフティボックスはないので貴重品は各自できちんと管理すること。
4) 翌朝(朝食〜出発まで)
朝食は決められた時間になればダイニングに行ってよい。遅れるのは絶
対にダメ。ご主人が出てきてあいさつをしたらいろいろ聞かれるので希
望を伝えよう。フル・ブレックファーストかコンチネンタルか(もっと
細かく、アレとコレだけ…のような頼み方ができる時もある)、紅茶か
コーヒーか。宿によってはタマゴの調理法(目玉焼き fried、茹で卵
boiled、スクランブル scrambled、オムレツ omelet…)やトーストは
白か茶か、など。ジュース、紅茶のポット、トースト、タマゴその他の
メインディッシュは後で順に運んで来てくれるので、シリアル(コーン
フレイクス、ミューズリ、など)とその他並べてある物は自分で取って
テーブルに運ぶ。ミルクはテーブルに置いてあるのを掛ける。ジャムと
バターも好きなだけ使う。紅茶とトーストは追加が欲しければ頼めば
よい。逆に少食の人は最初にそう言っておかないと、相当残す羽目に
なる。
チェックアウトは、この朝食の時に大体の時間を伝えておくとよい。準
備ができたら玄関ホールあたりで支払いをする。列車やバスの時間まで
間がある時はそれまで荷物を預かってもらえるか聞いてみよう。ただし
約束した時間はちゃんと守らないとね。
ゲストブックがある時はその場で、または前の夜のうちに記入しておこ
う。感想とかお礼とか書くようになっているので。
あいさつをしてお別れを。
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