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Wani が読んだ本を日記形式で記録していきます。
ジャンルは英国関連のみとは限りません。
忙しい時は間隔が開いてしまいますがお許しを。
本の一覧もあります。索引としてご利用ください。

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■ 2004/09/16 (Thu)  地図の遊び方   今尾恵介 著
イギリスで旅先の旅行案内所に入ると観光案内のパンフレットや関連図 書などと一緒にたくさんの地図が売られています。観光用地図でなく、 日本で言うところの「国土地理院」発行の公式の地図です。イギリスの 全土を同縮尺同面積に区切ってある、膨大なシリーズ。もちろん日本の も同じように発行されているんですが、たぶん大きな本屋のどこか片隅 にあるかお役所みたいなところで資料になってるか、くらいのイメージ だし、こんなふうに日常の生活に普通に混ざってるってすごい、と思っ たものです。その旅行の宿の案内にも、地図の何番のに載っている、と 一軒ずつ書いてあることも多いし。
昔ユースホステルばかり回って旅をした時も、その地区の地図が目に付 くところに必ず用意されていて、次のユースまでの道や周辺の観光に使 えるようにしてありました。特にフットパスがちゃんと書き込まれてい るのが感動もので、私も参考にしたものです。
とまあ、地図に関するお国ぶりが一冊に何かと書かれていて楽しめまし た。専門的なことは好きな人に語ってもらうのが一番、という好例です ね。さっきの公式の地形図が機械的に方眼に区切られるために一枚の端 っこにちらっと陸地があって残り全部が海、という地図もできてしまう わけで、これをわざわざ選んで買うのが嬉しい、とおっしゃる気持ち、 わかりますわかります。私が唯一持っているイギリスの地形図も半分く らい海で、見てると落っこちそうでコワイのも実感していますから。


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■ 2004/09/09 (Thu)  冒険家の食卓   C・W・ニコル 著 松田銑 訳
私が一番最初に買ったニコルさんの本。時々読み返しては料理の参考に …と言いたいところですが、これを読んで参考にできる料理は私の手に は負えないと思います、今のところは。
南氷洋のクジラとかエチオピアのパンとかはもちろん永遠に出会うこと はないだろうから、せめてハリネズミの針をうまく処置して丸焼きにす る方法とか、ウサギの肉はならしてから食べる、とか、気に入らない猫 をガツン…いやいや、内緒のミートソースの作り方とかはきっとどこか で役に立つかも、なんて思いながら読むからこそ面白いんじゃないかと 密かに信じているんですけどね。
恐ろしいことに一つの章ごとにその料理のレシピがきちんと載っている もので、つい頭の中でそれを実践する自分を思い浮かべたり。無理だと はわかってても。
なぜイギリス人が世界各地の秘境をこれほどまでに探検して回れるかと いうと食べ物に対して文句を言わないから…というニコルさんの説は、 これも思わず信じてしまいそうになるんですけど…。


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■ 2004/09/06 (Mon)  名人庭師 剪定・整姿の知恵袋   吉村隆一 編著
やはりその道のプロのお話というのは専門的であればあるほど一般人と してはそのまんま「知恵袋」になるわけで、枝を切る、と言ってはいけ ない、「はさむ」と言うのだ、とか、脚立は4本脚のではなく3本脚の にしたほうが木に近く立てられる、とか、アジサイは大きくなりすぎる からといって毎年刈り込んでいては花がつかなくなるし古枝につく花は 小さくなる、とか言われれば、ただただ、そうでございますか、仰せの 通りに…と言うしかないその圧倒的な立場の差というのがいっそ気持ち いいと思うのは私だけ? 知恵袋をせっかく授かっても実践する機会は まずないだろうな、というのも潔くていいもんだなあ…と思うのも私だ け?


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■ 2004/08/26 (Thu)  星座で読み解く日本神話    勝俣 隆 著
いわゆる学会で受け入れられない新説、というのにはなんかパワーを感 じます。定説なんかに負けるもんか、という。
おなじみの天岩戸や因幡の白兎や海幸彦山幸彦が、一つながりの話だ、 ってことすらちゃんと知らない人間でも楽しめる解説になってます。
古事記を解釈するのに、当時の町や道や建物や山や川さえ今は跡形もな くて何の手掛かりにもならないのに比べて、当時とほとんど変わらない 空の星は実に心強いヒントになる、ってのは納得です。西洋の星座しか 知らない今の我々には高松塚とかに残された古代日本の星座にすごく新 鮮さを感じるものだけど、この本を読めばさらにさらに斬新な星座を楽 しめます。アメノウズメノミコトって、こんなスーパースターだったの か、と認識を新たにできました。いや、文字通り。


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■ 2004/08/22 (Sun)  ねこに未来はない  長田 弘 著
これはもうまったく古典と呼んでいいかもしれませんが、古典になった というのは名作だと認定してもらったことにも繋がると思うので、まあ 悪口ではないと。そう先に言っておいた上で、これはマイ古典、マイ名 作だとあえて言いたいわけです。つまり私が勝手にそう思って勝手にそ う認定した作品。40年近く昔の本です。
とは言いつつ、私以外でもこの本について触れていたりもちろん評価し たりしているのを見ないわけではなく。たとえば児童文学者のI先生と か伝説の漫画家内田善美さんとか。
詩人の弄ぶちょっと曲がりくねった言葉で綴られた猫への想いと、そん な想いを抱く自分自身(と新婚の奥さん)への想いが、この小説ともエ ッセイともそれともおとぎ話とも取れる一冊に描かれています。自伝に 近い話なのは、タイトル作の「ねこに未来はない」以外の作品から推し 量ることができますが、実際にあったことであってもなくても、現実っ てつらいもんだよね、というリアルな嘆きとそれゆえの愛しさをこの作 品から感じてしまいます。
時々思い出しては読んでしまう一冊。文庫本はすっかり黄ばんでしまい ました。


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■ 2004/08/09 (Sun)  東京の中の江戸名所図会  杉本苑子 著
江戸時代なんてどんなだか想像もできない、と思ったらぜひ見たいのが 「江戸名所図会」。何巻も出ている当時のベストセラーだけど、今見る と本当に貴重な記録なんです。つまり江戸のいろんな風景をこと細かく しかも面白く臨場感いっぱいにイラストで描いたもので、街並みや建物 や人々の姿や行動が、まるで映画やドラマで見るように臨場感いっぱい に楽しめると。当時も、江戸以外の地方の人がこれを見て「江戸ってこ んなかぁ…」と楽しんだようですが、同じことを未来人である我々もで きてしまうということです。
この本はその「江戸名所図会」を現代の東京と引き比べつつ見てみよう じゃないか、という趣旨。さすがの名文家の筆なのでこれもおもしろい のですが、やはりそのものズバリをひたすら見るのが一番だと個人的に は思ってしまいます。道筋や地形が今とそのままダブってたりすると、 それ以外のあまりの変わりようが余計に実感できるし。日本橋の町が今 の新宿なみの繁華街だったり、逆に渋谷が一面の田畑で道も淋しい田舎 道。でも宮益坂も道玄坂もちゃんとある、というクラクラするような体 験もできてしまいます。
今週刊漫画誌「モーニング」でわたせせいぞうさんがこの「江戸名所図 会」をモチーフに連載をなさってますが、プロとしてそれをやりたくな る気持ちすごくわかります。あの見開きの「決めシーン」の絵は、絵柄 がわたせ流になってるのとカラーなこと以外は構図もなにもかもそのま んまなんですよ。
うん、やっぱりこの本もいいけど、原本を見たくなったなあ。


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■ 2004/08/03 (Tue)  明治日本印象記  アドルフ・フィッシャー著 金森誠 也・安藤勉 訳
オーストリア人の見た百年前の日本、というサブタイトルの通り、美術 史研究者である著者が明治の日本に二度の滞在をして書かれた本だが、 天竜下りに出かけたかと思うと京都で花魁道中見物をし、富士登山に挑 んで荒天に阻まれ、無頼の日本画家と意気投合し、北海道でアイヌの長 老に気に入られ…という調子で、信じられないほどダイナミックな「印 象記」だ。知らずに読むとガリバー旅行記以上の波乱万丈の冒険小説の ようにも思えてくる。
ただ珍しがっているだけではなく、非常に客観的に東西の文化を見据え た上で書かれているので、昔も今もよくある先入観、勘違い、決め付 け、偏見から生まれる非難、あるいは逆にむやみに礼賛することがほと んど見られないのはすごい。

火葬に興味を持って見学に行き、逆に寺のお坊さんに西洋には火葬がな いのかと聞かれて「死んだ人間を焼くことはしませんが、火あぶりの刑 で教会が多くの生きた人間を焼きました」なんてブラックな返答をし、 お坊さんを怖がらせたり。
旅館の朝の洗顔を宿じゅうの人たちに囲まれて注目されて、開き直って ショーアップしてみせたり。
いい人です、アドルフ。


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■ 2004/07/15 (Thu)  雨柳堂夢咄 其ノ十   波津彬子 作
もう10巻目になりましたか。1巻が出たのが11年前ですから、まあ買うほ うも気が長い。しかし、こつこつと地味に地味に作品を重ねてきたのは もちろん作者のほう。毎回巻末の自嘲マンガで笑わせてくれています が、そんなことに騙されやしませんよ。波津さん。これはもう並みの地 道さでは追いつかない職人芸です。釉月ちゃんと青二郎さんをめぐる一 連の話ももちろん注目していますが、単独の小さな不思議話こそがこの シリーズの味になってると思います。今回なら「秋徴雨〜あきつい り」。雨の日の不思議、ということで3つの不思議が重なった一話。名人 芸ですね。


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■ 2004/07/12 (Mon)  大図解 世界のミサイル・ロケット兵器  坂本明 著
第二次大戦時に開発されたロケット技術から始まった現代の究極の「飛 び道具」。言葉の上で脅威、と言うだけで納得していてはいけない…と 思い知る、技術の粋を結集した兵器を、ここはじっくり見ておくべき。 かな?
弾道ミサイルと巡航ミサイルの違いを初めてきちんと知りました。あ あ、これで明日から空を見上げて実感できそう。(何を!?)


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■ 2004/07/06 (Tue)  ウィリアム・モリスへの旅  藤田治彦著
テキスタイルデザインで有名な人、というイメージだったモリスは、こ の本によると工芸家でデザイナーで詩人で小説家で思想家で社会主義活 動家で環境保護運動家だったそうな。
そして旅の多い人。
そのモリスにゆかりの土地…英国だけでなくヨーロッパ各国をまわる旅 をしたこちらの著者、モリスの遺した記録を丁寧になぞっての旅はつま りモリスを同行しての旅なのだ、と言い切ってくれるあたり、あっぱれ な方である。見習わなくては。
私なら、さて、誰を同行者にして旅をしたいかな。
モリスが亡くなったのは20世紀を目前にした頃。死因を問われた医師が 答えたのが「ウィリアム・モリスであることが主な死因です」。
老齢にもかかわらず信じられないほど多忙かつ精力的な日々を送ってい たことを指しているにしても、すごい話ではないでしょうか。見習わな くては。…嘘ですが。


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■ 2004/07/02 (Fri)  たけしの大英博物館見聞録   ビートたけし著
タイトル通りの本ですが、「とんぼの本」シリーズの1冊で、写真がメ イン。たけしが云々を抜いても大英博物館のかいつまんだガイドブック になってくれてます。
ロンドンにあまり長く滞在しないせいで大英博物館に行ったのは1回き り。それも人の少ない展示、という基準で選んで見ていたので、マニア ックな(?)のしか見てない自分を再確認してしまった。
やっぱりちゃんとエジプトもギリシアも見ておかないとねー。たけちゃ んは、貸切でゆっくり見られてよかったこと。
解説というか、感想が学術的になりすぎず文化人の野次馬というスタン スなのがほどよい感じです。
でも一番よかったのがギフトショップのグッズ紹介というのは…。


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■ 2004/06/18 (Fri)  アニマル・ホスピタル  デビッド・グラント著 竹田 とし恵訳
いつもケーブルテレビで見ているBBCの動物番組の本を発見。番組で 見たエピソードもあってなんだか嬉しかったり。

動物医療とその周辺のさまざまな状況…てな話は常々テレビで見ていた 通り、と言ってもいいかもしれないけど、本で読んで初めて気づいたの は、そういうある意味過酷な医療現場にさらにテレビクルーが常時入り 込んでくる状況もかなり過酷だということ。
しかも今回初めて知ったのは、この番組が生番組だってこと。よくスペ シャルで警察、救急病院なんかが「ドキュメント24時間!」とかやって るけど、これを夜のゴールデンタイムに毎日30分やるって、まあすごい こと考えるもんだ。
毎日の放送が一定期間続いて、数ヶ月休み、また次のシリーズが始ま る、って形らしいけど。




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