【ロマンアルバム掲載の監督インタビューより】
――今回はロケハンといいますか、イギリスのウェールズへ最初に旅行に行
かれてますが、作品にどう役立てられたんでしょう。
「役立ったのかはわかりませんが、プロデューサーの高畑さんが『産業革命
の頃を背景にするのならイギリスに行かなくてはいかんのではないか』とい
ってくれましてね。サセックスというロンドンの南側にある海岸のリンゴの
花とウェールズの炭鉱を見に行こうってわめいて行くことにしたんです」
――渓谷を舞台にしようというのには意味があったんですか?
「どうなんでしょうね。最初に描いた絵がパァーッとそういう絵を描いてし
まったんです。平地っての絵にならないですから。
それで、露天掘りで掘ってあるのかはわかりませんが、そんな穴のたくさん
あいている谷というのを出したら面白いんじゃないかと思ったんです。ちょ
うど、ウェールズ旅行から帰って、絵を押井守くんにみせたんですよ。そう
したらあの絵を見て『えっ、こんなところあったんですか』っていったんで
す。あ、これはだませると思いましたね(笑)。それでこのままいってみよ
うと思ったんです。
映画にはでてこなかったんですが、ウェールズで炭鉱を見学できるところが
あったんです。建物をそのまま残しといて、従業員食堂が観光客用のティー
ルームになっていました。(後略)」
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