私の初めての海外旅行は英国でした。まあ、これがそもそもの始まりと言うか、その後も
繰り返し訪れることになって今に至るというわけです。
英国に興味を持ったのは、一つはいくつかの児童文学の舞台を自分で見てみたい、という
気持ちから。「名犬ラッシー」の歩いたハイランドの荒地、「ピーターパン」のウェンディ
の一家が住んでいた London の住宅街、ドリトル先生の病院のある沼地地方、「秘密の花
園」のお屋敷のあるムーア……どれも想像するだけでわくわくする世界だったので、それが
実際にどんな様子か知りたかったんですね。
もう一つは、中学生頃から好きになったロック、ポップスのせい。好きなミュージシャン
達の活動している場所、生まれ育った場所、そして音楽に描かれた舞台。こちらはさらに現
実的に好奇心を刺激して、ただ旅行するだけでなく実際にコンサートに行きたい、現地でレ
コードや雑誌を買いたい、と夢はふくらむばかり。
そうして実際に旅行してみると、今度はその旅行そのものの楽しさに目覚めてしまい、自
由旅行にぴったりの国、という新しい魅力が加わりました。最初の2回は一人旅、3回目か
らは家族などと一緒の旅ですが、どれも行き当たりばったりにその場で行き先を決め、その
日の宿を取り、という気ままな旅行ばかり。楽なことばかりではないけれど、トラブルも楽
しめばいいさ、の精神で英国旅行を重ねてきました。
ウェールズはその中で一番思い出も生まれ、また土地の空気にほれ込んで、毎回欠かさず
訪れる地になっています。なぜ?と尋ねられても自分でもきちんと説明できないのですが、
今では「知らない所に旅行に行く」というよりも「懐かしい場所に帰ってきた」感覚になっ
ているような。
ウェールズ固有の文化が残り、自然も昔の姿を多くとどめている北部ウェールズに特に足
が向くのは、そういう故郷の匂いがあるからかもしれません。
まだ行っていない場所、行ってみたい場所はいくらでもあるので、きっとこれからも飽き
ることなくウェールズに足を運ぶことでしょう。
だから今は、その旅の途中……休憩中ということにして。
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